第二回

構造美
新本格推理小説とは西村京太郎などに代表される「刑事もの」やハードボイルドものとは一線を画し、純粋に推理、論理的思考によって事件を解決するというスタイルの小説である(きっと)。そこで求められる価値はトリックの奇抜さ・斬新さ、推理の鮮やかさであり、物語のドラマ性や登場人物の人間性などは二の次である。つまり新本格の作品において人物はトリックを行うがために事件を起こすのであり、人間的な動機があって事件を起こしてしまうのではない。重要なのは事件を論理的に分解していく、謎解きという構造それ自体なのである。そして構造とは様式である。